【教育心理】記憶の話(後編)

長期記憶

 前回は短期記憶のテクニックを書きました。
 しかし、短期記憶も重要ですが、長期記憶へ変化させるためには?ということの方に興味があるかたも多いと思います。
 そのためのキーワードが「リハーサル」です。
 特にその応用例として「分散学習」を紹介します。

リハーサル

 皆さんは英単語など何かを覚えるときどのように覚えていますか?
  

  • 覚えるまでひたすらノートに書く
  • 単語帳とにらめっこする
  • 何度も音読する


など色々考えられますね。これは人によって向き不向きもあるでしょう。
ただ、これらに共通することは何でしょうか?それは「くりかえし」です。

これを教育心理学の言葉では「リハーサル」と呼びます。

「何を当たり前のことを」と思う方もいらっしゃると思いますが、短期記憶から長期記憶へ変わる「リハーサル」のタイミングは意外と意識されていません。

時間と学習効果についての理論としては「エビングハウス忘却曲線」が有名です。
この理論確立に使われた実験は無意味な文字列を使ったものなので、必ずしも直接的に勉強法に応用できるわけではないのですが、「リハーサル」との関係が分かりやすいです。
この理論から簡単に言うと次のことが言えます。

  • 記憶した内容は24時間もすれば大半を忘れる
  • 忘却率は最初は激しく、だんだんと緩やかになっていく

それはそうだなという感じですが、ここで忘れかけたところで「リハーサル」をすると忘却率が緩やかになっていく(忘れにくくなる)という点がミソです。

分散学習

 最近、SNSで勉強アカというものがあるらしく、「○○時間続けて数学勉強した!」などの報告を挙げているそうです。
 また、私も大きな声では言えませんが大学生のころは正直専門でもない教科のテストは一夜漬けでいいや~と思って勉強していました。
 このように一気に集中して勉強を行うことを集中学習といいます。
 このような勉強は継続的に反復すれば効果はあるのですが、反復のし忘れが生じかねません。

 そこで最近話題になっているのが分散学習です。
 最近は分散学習用のアプリなどもあるのでご存じの方も多いかもしれません。
 簡単に言えば「復習しなさい!」ということなのですが(笑)、そんなに人間強くありません。
 そこで最近話題なのが違う科目を45分単位などで「サンドイッチすること」です。
 学校の授業みたいに比較的短いスパンで勉強する教科をコロコロ変えます。
 イメージしてみてください。この時期なので受験前やテスト前で一日勉強する日としましょう。

 朝数学の問題集を解いて忘れていた公式があったとします。くやしーと思い暗記します。(この時点で短期記憶に貯蔵)

 しかし、集中学習をしているとまた次の知識が入ってくるので、恐らくさっき覚えた公式は短期記憶には貯蔵されていますが、記憶して終わりなのでリハーサルにさらされません。

 でも分散学習をしていると45分経つと数学は終わりです。

 次の教科を勉強して英単語やら理科やら社会やらを勉強して、また夕方くらいに数学を解きなおすときには朝から時間が経っています。

 忘れかけているので自然と「朝やったけどなんだっけ?」と思い出そうとします。これがリハーサルになります。
 このように「教科サンドイッチ」を作ることで強制的にリハーサルを行おうというのが分散学習のアイデアです。

 一定程度科学的なエビデンスもある方法なので試してみてはいかがでしょうか。
  
 アプリを使っての管理も素晴らしいと思うのですが、個人的には手段と目的の同一化が起きそう+ちょっとめんどくさい(こっちが本音。笑)のでやることをコロコロ変えて勉強しています。
 
そのほかにも記憶にはリハーサルの種類(精緻化リハーサル、維持リハーサル)や記憶の2貯蔵モデルなど面白い話題が多くありますので興味があれば是非調べてみてくださいね。

他にも書いて欲しい話題などがあればコメントいただけますと嬉しいです。