【教育心理】記憶の話(前編)
今回は記憶についてお話ししたいと思います。
記憶
みなさん記憶というと「短期記憶」と「長期記憶」いう言葉を聞いたことがあると思います。
短期記憶は数十秒から数分で忘れる記憶です。
一方長期記憶はそれ以降でも忘れない記憶です。
長期記憶のとしては例えば昨日の夜ごはんのメニューなどが挙げられますね。
勉強などでは当然長期記憶として公式を暗記しておきたいですね。
しかし、実は記憶は短期記憶を経ないと長期記憶に変化しません。
そして、長期記憶となるのは短期記憶のうちのほんの一部です。
それではどのように長期記憶を形成すればよいのでしょう。今回はまず短期記憶についてです。
短期記憶
突然ですが次の数字を覚えてください。
74184986412 |
覚えられましたか?難しいですね。では次はいかがでしょう。
741-8498-6412 |
これは上の数字を3-4-4と区切っただけです。
しかしながらだいぶ覚えやすくなったのではないでしょうか。
実はマジカルナンバー7という言葉があります。
これはミラーが唱えた説で、「一度に短期記憶として捉えられる情報は7±2チャンクである」というものです。
チャンクとは聞きなれませんが「意味のかたまり」だと思ってください。
そして、現在では2001年ネルソン・コーワンが実際のマジカルナンバーは4±1チャンクだと主張し、これが通説になっています。
確かに一気に9個の意味のかたまりを覚えるというのは難しそうで、この説の方が現実味がありますね。
この説からも上で区切りを入れただけで一気に覚えやすくなった理由がおわかりいただけたと思います。
(ちなみに電話番号のハイフンも同様の効果があると言われています。もし電話越しで3,4文字ごとに区切らず電話番号を言われてもメモが追いつきませんしね。笑)
とは言いつつ、どうしても一気にたくさんの情報を暗記したい場合はどうしたら良いのでしょうか。
このためには、それらをグルーピングして意味のかたまりにすることが有効です。
例えば「10個の単語を覚えてください」という問題が出たとします。
一つ一つの単語を単語として覚えようとすると10チャンクです。
これは人間の短期記憶の限界を超えているといえます。
しかし、10個の単語が登場する創作の昔話を作ればストーリーという意味で1チャンクにまとめられるので覚えやすくなります。
実はこの時のストーリーはヘンテコなものが良いと記憶に残りやすいと言われています。
また、グルーピングという意味では「単語と意味」というと独立して覚えようとすると2チャンクともみなせます。
しかし、語呂合わせで文にすれば「1文」という1チャンクになります。
変な例文の語呂合わせで覚える古文の単語集などがありましたが、これもこの手法の例の一つでしょう。
勉強で疲れた時など是非遊び感覚でやってみてはいかがでしょうか。
さて、今回はこの辺までとします。
ほかにも教育心理は面白い話題が多いです。皆さんも是非調べてみてください。
次回は短期記憶から長期記憶への変化を起こすための「リハーサル」の話や、実践例として「分散学習」、「教えるつもり勉強法」など最近注目の手法をご紹介できればと思います。
以上