【大学受験】楕円は円の親戚

楕円の方程式について

 今年はラグビーWC盛り上がりましたね。近くの公園で少年たちがラグビーボールで遊んでいて、2002の日韓サッカーWCの後を思い出しました。ところでラグビーボールは「楕円形」と言いますが、この図形を数学的に取り扱えるようになるのは数Ⅲの「式と曲線」から。二次曲線や円錐曲線と言われるものの一種です。ほかには「放物線」、「双曲線」という話題がありますが、今回は楕円は円の親戚という話をしたいと思います。そこで今回は次の問題。

a, bを異なる正の実数とし、xy平面上の楕円 \frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2}=1に4点で外接する長方形を考える。このような長方形の対角線の長さLは、長方形の取り方によらず一定であることを示せ。また、Lをa,bで表せ。(頻出問題)

 図を描いてみて試行錯誤するのが初手でしょう。どうも4本の接線を考えて、その交点に注目すれば良さそうです。


通常、問題集の解答では

①接線の方程式をy=mx+nと置き「楕円と直線が接する⇔楕円と直線の方程式を連立したxに関する二次方程式の判別式が0」を解いてnをmで表してみて幾何的に考察。

②接線同士の交点をP(p,q)と置き、y=m(x-p)+qとして、楕円と直線の方程式を連立したxに関する二次方程式の判別式=0を考えた後に得られるmの二次方程式の2解の積が-1(2直線の直交条件)を利用してp^2+q^2=(定数)を導く。

などの方法が挙げられていますが、いずれも計算量が膨大です。そこで楕円は円を潰した形という性質を利用して問題を解きたいと思います。


解答の方針

 ②と同じように接線同士の交点をP(p,q)と置き、接線の方程式をy=m(x-p)+qと置く。xy平面全体に対してx=aX, y=bYと変数変換すると、

  • 楕円の方程式は X^2 + Y^2 =1 -(1)
  • 接線の方程式はbY=m(aX-p)+q   -(2)

と変換されるが、XY平面で見ても上の2式の表す図形は接していて、特に楕円の方程式はただの単位円へと変換された。なので上で紹介した①、②のように「接する」ということの数学的な言いかえを「(判別式)=0」だけでなく「原点からの距離が1」と言い換えられるようになった!


解答

 上の(1),(2)より、円に接する直線の条件から原点と直線との距離が1となるので
\begin{eqnarray}
  \frac{|-pm+q|}{\sqrt{b^2+(ma)^2}} & = &  1
\end{eqnarray}
\begin{eqnarray}
  |-pm+q| & = &  \sqrt{b^2+(ma)^2}
\end{eqnarray}
両辺を2乗すると
\begin{eqnarray}
  p^2m^2-2pqm+q^2 & = &  b^2+a^2m^2
\end{eqnarray}
\begin{eqnarray}
  (p^2-a^2)m^2-2pqm+q^2- b^2& = & 0
\end{eqnarray}
ここで、このmに関する二次方程式の2解m_1, m_2m_1m_2=-1を満たす。(接線同士の直交条件から)よって解と係数の関係より、
 \frac{q^2- b^2}{p^2-a^2}  = -1
が成立。これを整理すると、
 p^2+q^2  =  a^2+b^2
となるので、接線同士の交点、すなわち長方形の頂点の座標P(p,q)は原点を中心とする半径\sqrt{a^2+b^2}の円周上にある。このとき、長方形の中心は明らかに原点であるから、L=2\sqrt{a^2+b^2}で一定である。
以上